みなさんこんばんは!
さて、題名の通りですが、ミミズが大量に道に出没する季節になりました・・・。
さて、いつも思っていたのですが、なぜミミズはこの時期に大量に道に出てきて自滅していくのか?
気になったので詳しく調べてみました。以後文章ばかりですが、苦手な方はお戻りください。
ミミズが路上に大量に出没する理由
調べてみると割とサクッと専門家の方が解説されている記事がありました。
雨水が溜まった土の中ではやがて息苦しくなります。また、土が太陽光で熱くなった時、体温調節のできないミミズは必死で地上にはい出てしまいます。いずれも目の無いミミズにとっては、最も危険な生きるための逃避。それで生命を落とすことになるというわけなのです。
ミミズの路上自殺はなぜ起こる? 実は体の構造に秘密
この解説を行っている、藍尚禮先生は科研費も色々とられている優秀な先生のようです。
ただ、他のサイトを見ても、「理由を特定するのは難しい」とか「推測の範囲での解説」が見受けられます。
もしかすると、ミミズの路上出没は、もっと深い話で、藍先生は素人向けの記事なので、軽めの話で終わらせている可能性があります。
なので、数時間もかけて、調査を行ってみました。
ミミズの行動に関する研究
ミミズをキーワードに「Cinii」や「google scholar」を調べてみましたが、なかなか行動に関する研究はヒットしません。
ミミズの研究として言えば、土壌改良系の研究が多いようです。
ミミズの特殊な行動ということで、ジャンルとしては動物行動学?に該当するようなので、その辺に当たってみました。
しかし、ミミズというのはニッチ過ぎるのでしょうか?なかなかそれらしい論文にたどり着きません。
と、そんな中ドンピシャな論文を発見しました。その名も
ズバリですね・・・、なんで見つけれなかったのか。
大野先生、 東京都健康安全研究センターで、昆虫生態学、衛生動物学の研究をされているようです。
レビュー
ミミズが草地・林地から本来の生息場所でない路上等に這い出して日光に曝され苦しんでいるのが,よくみられる.ミミズは土壌有機物の分解で重要な働きをする有益な生物である反面,不快害虫でもある.多数のミミズの「集団死」を目撃した近隣の住民は気味の悪さや不安を感じることが多く,保健所や当所への問い合わせも多い.
路上等に出現するミミズ類の季節的変動
おお、まさにそうですね、正直気持ち悪いです。
でも、まさか、保健所に問い合わせが多いというのは驚きです。ただ、不安は感じないですけどね・・・。
このミミズの這い出す行動は古くから知られ,降雨後に観察されるという1-5).しかし,年間を通して這い出す時期,生長による違い,降雨の関係について調べたものはほとんどない.その原因の一つにミミズの分類の難しさがあった.
路上等に出現するミミズ類の季節的変動
やはり、昔からミミズは雨が降った後に、這い出る様子が観察されていたようです。
1-5の出典は『みみずと人生』( 大淵 ,1947年)ということで、昔から、ミミズが苦しんでいる様子をみて、心を痛めていたようです。
やはり降雨の関係について調べた研究はなかったようですね、なので理由は最近まで分かっていなかったんだと思います。
這い出してくるミミズを1998年5月から1999年7月まで,ほぼ毎日午前9時から10時にかけて採集した.採集したミミズは5%ホルマリン溶液で固定し保存した.なお,1999年7月中旬に樹木の害虫駆除の殺虫剤散布が行われたため調査を終了した.
路上等に出現するミミズ類の季節的変動
マジで!?
1年2ヶ月間、ほぼ毎日1時間ミミズを採集とかすごいですね。
そして、1999年7月中旬に殺虫剤が散布されて調査終了とか、なんかすごく寂しい終わり方ですね。
殺虫する業者の人も、まさか毎日ミミズを採集している人なんていないと思ってるでしょうね(笑)
しかし、自然科学系の研究というのは、地道な日々の努力の基、成り立っているということがよく分かります。
同定の前に試料を水道水でよく洗い,ホルマリンをできるだけ除いた.
路上等に出現するミミズ類の季節的変動
今回の調査で5,267個体のミミズを採集し,すべてフトミミズ科であった.
路上等に出現するミミズ類の季節的変動
すごいですね、1年2ヶ月採集すると、およそ5300匹にもなるのですね!
そんなこんなで、「年間を通して這い出す時期,生長による違い,降雨の関係 」を明らかにするため分析を行っていますが、私には分析の妥当性を判断する知識はないので、一定の品質を担保している前提で、結論に進もうと思います。
大野先生は、先行研究から、 ミミズが這い出す理由について、仮説を立てられています。
先行研究の出典を見ても、Friend, H.(1921年)などのかなり古い文献が見受けられます。昔からミミズに興味津々だったわけですね!
- 寄生バエ幼虫に侵されたための徘徊
- 地温の急激な低下
- 降雨による土壌中への酸素不足の水の流入
- 降雨により土壌中に増加する二酸化炭素
①について
今回の這い出してきたミミズを多数解剖したが,ハエ等の寄生虫に侵された形跡はみられなかった.Friend2)もミミズに寄生虫の見られないことを述べている.
上等に出現するミミズ類の季節的変動
私も直感的にそう思います。
そんな寄生虫ばっかりいると、ミミズ絶滅するんじゃないかと思います。
②について
驟雨があり霜にならないまでも気温が急激に低下した時にミミズが多数這い出すとFriend2)は報じているが,今回の調査では冬期に多数のミミズの這い出る行動はみられなかった.
上等に出現するミミズ類の季節的変動
これも違うようです。
冬にはミミズが這い出しているのは見かけないので、直感的にも違うことが分かります。
でも、1921年の研究では、冬に大量に這い出ていたということですよね?
たまたま今回の研究で条件を満たさなかっただけで、何かあるのかもしれません。
③について
ミミズは水中や酸素欠乏状態でも長期間生息でき,酸素を除いた空気にも忌避行動を示さない12)ので,酸素欠乏は直接的な原因とされていない4,5).今回同定できたミミズ4種は表層種であり,酸素が著しく欠乏して這い出しきたとは思えなかった.
路上等に出現するミミズ類の季節的変動
おっと、待ってよ!
雨水が溜まった土の中ではやがて息苦しくなります。また、土が太陽光で熱くなった時、体温調節のできないミミズは必死で地上にはい出てしまいます。いずれも目の無いミミズにとっては、最も危険な生きるための逃避。それで生命を落とすことになるというわけなのです。
ミミズの路上自殺はなぜ起こる? 実は体の構造に秘密
最初に掲載した、 藍尚禮先生の記事とは異なることが書いてあります。
④について
ミミズは二酸化炭素に感受性が高く4),避けるような行動を示す12,13).また,雨天または雨天後の土壌気体中の二酸化炭素分圧は増加し12),降雨後晴天時の土壌呼吸速度は雨天や通常の晴れの日の約2倍になる14)といわれる.ミミズの這い出しは,降雨により急増した二酸化炭素に対する忌避行動であるという説が現在最も有力である.今回の調査でも雨が降ると多数のミミズが這い出す傾向にあり,二酸化炭素説を裏付けるものと思われる.しかし,前記したように雨が長い間降らず晴天が続いていた11月でもヒトツモンミミズ等が比較的多数出現しており,這い出す原因は降雨による二酸化炭素の増加以外にも存在する可能性がある.
路上等に出現するミミズ類の季節的変動
あ、息苦しいというのは、酸素不足ではなく、二酸化炭素濃度の増加により感じるようですね。なので、記事にあった通りです。
が、続きに興味深いことが書いてあります。
雨が降らなくてもミミズが這い出す現象が確認されているので、二酸化炭素で苦しい以外に理由があるようです。
なるほど、これが地熱で出てくるということでしょうか?
でも、11月というと、平均的に10℃後半で、夏ほど地中の温度が上昇することは考えにくいです。
この這い出し行動は「集団死」を起こすだけで利点がないのであろうか.Schwert15)は,ミミズがこの行動により自然林地では干からびることなく,生息地を拡大し(食物・生息場所をめぐる競争を回避し),遺伝子を交換していると述べている.この行動はミミズにとって適応的なのかもしれない.這い出し行動は不明な点が多い.
路上等に出現するミミズ類の季節的変動
やはり不明点が多いということのようです・・・。
集団自殺のように思える行動も、実はメリットがあり、新天地開拓や遺伝子交換による強化を行っている可能性があるそうです。
以下のサイトでも、この辺りに触れていましたが、2017年の段階でも「考えられる」と記載があるので、未だに正確なところは不明なようですね。
雨後の徘徊:ノラクラミミズなど地中の比較的深い所に棲むミミズにみられる行動。徘徊の理由として,繁殖のための移動あるいは新天地の開拓が考えられます。
屎尿・下水研究会
まとめ
世の中にあるミミズに関する情報のほとんどは、データにより解明されたものではなく、推測だということが分かりました。
ミミズは謎の多い生き物だということですね。
気持ち悪いですが、我々の生活に欠かせない生き物なので、大切にしましょう。 これからの調査に期待します!