2016年8月にマイナーチェンジを行った210系現行クラウン。
価格的には、210系クラウンアスリートハイブリッドGについては、5,430,000→5,848,200になり、値上がりはなんと 418,200円 のアップ、内容的にも削り落とした装備が復活したイメージです。
210系クラウン前期型については発売時には多くの情報が出ていましたが、最近ではモデルチェンジの情報が今一つ集まりません・・・。
210系クラウン後期型の情報があまりないのでまとめてみます。
REBORNした210系クラウン前期型
V4 2.5Lダウンサイジングエンジン
一番の話題となったのは、直4 2.5Lへのダウンサイジングではなかったでしょうか。大排気量で加速が素晴らしい車が「高級」という、今までの方向性とは反対のものでした。
海外メーカーではすでにダウンサイジングの流れはあったので、「ダウンサイジングされるクルマ多いよ」と聞いても、そこまでのインパクトはありませんでしたが、日本固有のクラウンにまで影響が及んだのは大きいものがありました。
削られた高級車ならではの装備の数々
エンジンのダウンサイジングとともに話題になったのが、200系クラウンまでは標準であった様々な高級車ならではの装備が、210系クラウンでなくなったことでした。
最上級モデル「210系クラウンV6 3.5LアスリートG」にはいくつか残りましたが、それ以外にはオプションですらつかないものがありました。
注目すべきはエントリーグレードは、ナビなし、オーディオなし、マニュアルシートという、「え?最近の軽より装備悪いよね」というものでした。
高級路線から大きく引いた印象が強かったです。
REBORN
「いつかはクラウン」という有名無実とかした伝統を、良い意味でも悪い意味でも枠を壊しました。
デザインも刷新して斬新なスピンドルグリルが採用されました。賛否両論ありますが、迫力があり、私はとてもカッコいいと思います。
最新の210系クラウン後期型ももう一つ?
200系クラウンハイブリッド(GWS204)と210系クラウン後期型を比較して、アリかナシか検討してみましょう。200系クラウンハイブリッドは、200系クラウンの中でアスリート、ロイヤルの上に位置づけられていました。
そのため、比較対象としては210系クラウンアスリートハイブリッド最上グレートのGと比較します。
スペック比較
2016年8月版アスリートハイブリッドG | 200系ハイブリッド Gパッケージ | |
---|---|---|
価格 | 5,848,200円 | 6,200,000円 |
車両重量 | 1680kg | 1840kg |
寸法 | 4895×1800×1450mm | 4870×1795×1470mm |
エンジン | 直列4気筒DOHC+モーター | V型6気筒DOHC+モーター |
排気量 | 2493cc | 3456cc |
最高出力 | 131kW(178ps)/6000rpm | 218kW(296ps)/6400rpm |
最大トルク | 221N・m(22.5kg・m)/4200~4800rpm | 368N・m(37.5kg・m)/4800rpm |
モーター最高出力 | 105kW(143ps) | 147kW(200ps) |
モーター最大トルク | 300N・m(30.6kg・m) | 275N・m(28.0kg・m) |
ガソリン | レギュラー | ハイオク |
燃費 | 23.2Km/ | 15.8km |
210系後期クラウンの良い点
- プリクラッシュセーフシステムなど各種安全装備が標準でついているので、車の保険料が安くなるし、何よりも安全である。
- 好き嫌いの好みがあるが、エクステリアは意外と好みである。
- パノラミックビューモニターで車を俯瞰しているようにカメラで確認できるのがいい。巻き込みで人を引いてしまう危険が少ない。
- ブラインドスポットモニターで隣の車線に車がいるかわかる。車線変更が安全にできる。
- オートマッチクハイビームで常にハイビームを維持できるので、安全に夜間走行できる。
- 160Kgも軽くなっているので、燃費に一役買っているし、加速時の重さ改善にも大変効果的である。
210系後期クラウンの惜しい点
- V4 2.5Lのダウンサイジングエンジンなので、圧倒的な加速がなくなったことに物足りなさがかなり残る。4600cc相当のGS460hや200系クラウンハイブリッドから乗り換えると加速不足感がある。加速加速というと危険かと思われるかと思いますが、加速が良いことで逆に安全な場面があります。高速の合流などですが、数秒の加速で80Km/hに達するので、一瞬で左車線の車より速くなり、ぶつかることなく安全に合流できます。
- VGRSが3.5Lアスリートにしかついていない。VDIMは全車標準という記載があるがまだ理解できていない。VDIMだけでなく、もろもろ統合された上で恐ろしく安定した走行が可能になる代物だと考えるので、統合されたVGRSが標準でついてないのは、残念。これのおかげで、路面が悪いところを多少ワイルドに走ってもすんなりプロドライバーのような腕前でクリアできてしまうのがすごい。
- インテリジェンスAFSが抹殺されている。暗い山道や街乗りでも細い道は暗いので曲道はヘッドライトがハンドルに連動するこれは大変重宝します。これがないというのはつらいかも。
- イージークローザーが3.5以外はラゲージしかついてない。これもすごく重要な装備で、「高級車だなー」と感じさせてくれるものです。半ドアになったので閉めなおすというのは手間です。
- リアセンターコンソールにコントロールスイッチがない。これもあると結構便利で、後部座席からオーディオの操作やサンシェードを閉めることができるのですが、ないとそれなりに不便ですね。
- ヘルプネットがない。これはエアバックが開くような事故の時に自動で緊急通報してくれるものです。万が一の時には緊急電話はできないことが多いです。さらにボタン一つで緊急通報されるので、万が一の時に助かると思います。レクサスには残っているので、これがなくなったということはもはや高級車として一歩引いてしまった感じです。
現状維持で残ってよかったと思う装備
- NAVI・AI-AVSが生き残っている。前期型で抹消されたと聞いていたのですが、最新のカタログには載っていました。ナビと連動してその場所が走行するうえで安定しない場合は、ショックを軽減など自動で調整してくれる機能です。これぞ高級車という機能です、日本の技術力の高さはすごいですね。
- ヒルスタートアシストついてるようです。しかも全グレード標準装備。これはレクサスHSでもIパッケージ以上ぐらいでないとつかなかったはずなので、標準装備はありがたいですね。坂道で止まって、ブレーキを放しても数秒停止します。後ろに下がることを一切に気にしなくていいのでとても便利です。
- バック連動ミラー。これは地味に便利な機能で、ギアをバックにすると自動でミラーが下がります。これで駐車場の左右の白線を認識できるのでバック駐車が一発で決まります。
- パワーイージアクセスシステムも標準です。これは乗り込んでシートベルトをはめると、セットしてあるハンドルが飛び出してきて、シート位置、ミラー位置をに自動でセットしてくれます。降りるときはシートベルトを外すと、シートが自動で後ろに下がり降りやすくなります。おもてなし満載ですね。
- 自動明眸。地味に便利、まぶしくない。
- サンシェード、なんと標準らしいです。夏の暑いときに便利です。窓と一体なのでデザインがダサくありません。必要な時にシャッと出せるのでスマート。
210系後期クラウンハイブリッドは買いか
210系後期クラウンですが、安全性など結構高まって、装備もそれほど悪くはない印象です。結構善戦しているような印象を受けます。
ただ、ダウンサイジングしたエンジンは、クラウンに走りを期待している私としては、ちょっと残念かなと思いました。
ただ、街乗りの燃費は大幅に向上しています。街乗りしかしないアバンギャルドな人には、エコ車としてお勧めできそうです。
あと、価格を落として、装備が削られているのが残念な感じです。廉価版のクラウン(2.5ロイヤル、税込み3,812,400円)により、カムリやマークXからの流入も期待しているのかもしれませんが、既存のオーナーには不満な点が多いのではないでしょうか。
そうなると、中途半端に210系クラウンを買うよりは、クラウンマジェスタあたりが候補になってくるかと思います。
ただ、クラウンマジェスタも他のクラウンと見た目がほぼ一緒になったのが気になります。今までのマジェスタは、アスリート・ロイヤルとは、デザインとエンジンで一線を画していましたが、210系からは一線が薄くなりました。
おそらく、少し見栄っ張りなところがあるクラウンオーナーの方々にとっては、同じ見た目というのは耐えがたい可能性があります。そうなると、クラウンブランドから逃げていく人が出てくるかもしれません。